1人の女性が生涯に産む見込みの子どもの数を示す「合計特殊出生率」で、東京都が初めて1・00を切り、0・99となった。1を割ったのは全国で東京だけ。都は少子化政策に力を入れているものの、歯止めがかかっていない状況だ。
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厚生労働省が5日に公表した人口動態統計によると、2023年に都内で生まれた日本人の子ども(出生数)は8万6347人で戦後最少だった。
都は少子化の要因を「複合的」としながらも、未婚化や晩婚化の影響のほか、子どもを持たないと決める夫婦が増えていることを挙げる。
国立社会保障・人口問題研究所の21年調査によると、全国の未婚者(18~34歳)の男女の8割が「いずれ結婚するつもり」と回答。夫婦が理想の子どもの数を持たない理由で最も選択率が高いのは「子育てや教育にお金がかかりすぎる」だった。
こうした状況を踏まえ、都はマッチングアプリを開発したり、交流イベントを開いたり、出会いを後押しする対策を強化。子育てにかかる経済的な負担を軽減するため、0~18歳の子どもに一人当たり月5千円を支給する都独自の「018サポート」や、高校授業料の実質無償化なども始めた。
5日取材に応じた、都子供政策連携室の担当者は、今回の結果について「重く受け止めている」とした。そのうえで、「今がラストチャンスと捉え、望む人が安心して子どもを産み育てられる社会の実現に引き続き取り組む」と話した。(太田原奈都乃)